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おっちゃんの「課外学習」

2008年9月11日

ギャルゲーのために、フォントを作った男 vol.10

筆者:いぬ作り手が「自由」だった時代

「書道をするのにさ、山に入っていって、木を切ってきて、墨を作るところからまずはじめるっていうかさ。筆を作るんじゃなくて、墨汁を作るっていうところからはじめる。そんな感じで、ゲーム作りに必要な全部のツールは、自分で作ってた。オレはオレの使いたいツールを作ってたし、他の人は他の人なりに多分やってたんだと思う」


「ギャルゲーのために、フォントを作った男」の連載を終えるにあたり、関野氏のこの言葉を取り上げたのは、当時のゲーム作りに流れていた「DIY(Do It Yourself=自作)」の空気と、そこから生まれる「自由」について最後に触れておきたかったからだ。

便利なツールもゲーム作りのノウハウもなかった時代、面白そうだから作りたい、という思いだけでゲーム作りに足を踏み入れた人たちがいる。プログラムの専門家でもなく、ゲーム作りの経験もあまりない彼らは、独学でプログラミングを学び、独自にゲームを作った。今のようにシステム化され、ノウハウが蓄積された中でのゲーム作りとは異なり、そこには百人百様の発想や工夫があったに違いな
い。

彼らが自由に発想し、独自のやり方で作り上げたコンテンツは「自慢したい、ほめれられたい」という動機で、共有されていく。関野さんは「関野フォント1号」を無償で公開した。付け加えるなら、コマンド入力式ではなく、選択肢入力式、しかもテンキーにあわせて最大9個までの選択肢表示というシステムを「発明」したのも、関野さんだという。このシステムも、その後ファミコンのアドベンチャーゲームに多く採用された。

「関野フォント」やテンキー対応の選択肢表示システムを公開せずビジネスにしていたら、ファミコン全盛時代に大もうけできたんじゃないですか、と聞くと関野さんはこう答えた。

「いやホントに、自慢したいんだよ。だって商売だと思ってないからさ」

私見になるが、こうした「DIY」精神と、商業的な成功よりも周囲からの評価や名誉を求める気風は、今「youtube」や「ニコニコ動画」などの動画共有サイトに流れているような気がしてならない。毎日、無数の「フラッシュアニメ」や「MADムービー」などが次々アップロードされる。その作者はお金ではなく、コメントという「名誉」を求める。その中で、新しい世界を切り開いた人が商業的な成功を収める。この構図は、そっくり関野さんがたどった道と重なる。

「モニタ上の文字表現」の原点の一つを探っていった先に見えたのは、作り手に与えられた「自由」が新しい表現を生み出した、その現場だった。

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