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おっちゃんの「課外学習」

2008年9月16日

白線の論理と倫理 vol.1 たばこと不良少年。

筆者:おっちゃんこれは、喫煙者の「引かれ者の小唄」です。
「白線の論理と倫理」やなんて、たいそうなタイトルつけましたが、白線とは、路上の喫煙所に引いてある「白線」のことです。ですから、たばこと白線の話や、と思ってください。
喫煙者の心情をちょっとは言いたくて(共感までしていただけるとは、思っていませんが)、白線への思いを書かせてもらいます。


おっちゃんが、世の中に出たころは、たばこを吸うのが、当たり前。酒も浴びるほど飲んで、一人前。それが、大人の嗜みになっていた。それが、いつのまにか、まともな人はたばこを吸わない風潮になってきました。タバコは健康に悪い。悪いことを平気でする人は、野蛮人。今は、仕方がないから、健全な人に迷惑がかからんように、分煙で我慢してあげるが、早く、根絶しなければ、という世の中の意思が伝わってくる。 けど、たばこを「嗜好」と「健康」の二元論で割り切っていいのでしょうか。たばこは、文化やった時もあったのです。

「たばこの、どこが文化やねん」と言う方は、久世光彦さんのエッセイ集『むかし卓袱台があったころ』を読んでください。久世さんは、有名なプロデューサーにして、卓抜なエッセイスト。昭和十年頃から二十年過ぎ、戦前戦後の人々の営みを描いたこの本の中に、『不良少年になれなかった』と言う一編があります。

その冒頭は、
「あのころ<少年>だった奴は何にでもなれた。何になっても不思議はなかったし、周囲だって納得したに違いない。考えてみれば、そんな自由でアナーキーな時代なんてそうあるものではない。」と始まる。
あのころとは、戦争が終わって二~三年ごろまでのこと。そのころ、今日食うだけでも、自信がない。必死やった。明日のことを考えるなんて、そんなアホな、贅沢すぎる。
「あのころの大人たちだって先行きの見当をつけかねていたのである。だから少年たちに明日を問われて力強く答えられる大人なんて、どこにもいなかった。みんな弱々しく空に目を泳がせ、しばらくして小さく溜息をついた。たまに熱っぽく未来について語る大人に出くわしても、私たち少年は冷ややかに鼻白んだものだった。そんな話を信用するには、私たちの周りには何も無さすぎたのである。」

少年は、ある日、仲間とともに、タバコを回し飲みする。
「私がはじめて煙草を吸ったのはそのころである。よく映画や小説に出てくるように激しく煙に咽せるということがなかったのはどうしてだろう。はじめての煙草の煙はごくスムーズに私の胸に流れ込んで行った。あえて言うならそれは濃い霧を吸い込んだようだった。いくらか重く、いくらか湿ってはいたが、私はまるでもう何年も続けている習慣のように、今日も青い空に向かって少し目を細め、ゆっくり煙を吐き出した。」

このとき、少年は
「これで何にでもなれるとそのとき私は思った。」
そして、少年たちは、ひとつの約束を交わす。
「坊主頭で裸足の私たちのその日の約束は、みんなで不良少年になろうというものだった。力弱い大人たちの目にはない狂暴な光を帯びた不良少年の目、鋭い刃物のようでいて人懐っこく優しげな不良少年の横顔、それはその日の私たちにとって何の不思議もないリアルなイメージだった。この煙草さえあれば、何年か前には考えもしなかった不良少年にだってなれる。」

だが、と言うべきか、当然というべきか、その約束は誰も果たさなかった。
「私は不良少年になれなかった。私といっしょに煙草を回しのみした仲間たちの誰かがそうなったという話もその後聞かなかったから、あの日の小さな約束は守られなかったわけである。」

そんな簡単に不良少年になんか、なれっこない。不良少年になっても、ヤクザなんかには、なかなかなれない。じゃあ、なぜ、素直に「健全なおとな」になろうとしないのか。そう一本道で進めれば、少年は苦労しない。

(つづく)

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