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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2013年8月07日

舞台『頭痛 肩こり 樋口一葉』井上ひさし(演出:栗山民也)

筆者:おっちゃん金も恨みも喜びも、天下のまわりもの

こまつ座一〇〇回記念公演は、
初演の演目、『頭痛 肩こり 樋口一葉』でした。
主演の演出は、木村光一で、
その助手を務めたのが、今回の栗山民也だった。
お盆が近づく八月一一日(日)まで公演中です。

舞台は、毎年、お盆の日。
お盆には、霊が返ってくる。
なぜ、一葉のもとに、見知らぬ霊がやってくる。
若村麻由美が演じる花蛍さん。

花蛍さんは、この世に恨みを残している。
恋しい人が身請けの金を用意してくれたのに、
駆けつける途中の道で落とす。
それを拾った老婆に猫糞されたために、
恋しい人は絶望して死を選ぶ。
花蛍さんも、世を儚んで死ぬ。

この恨みを晴らさでおくものかを、
老婆を探し出して詰問すれば、
その老婆は、また、誰かに追い詰められたために、
悪いと知りつつ、罪を犯す。

小泉今日子扮する一葉のもとに、何の縁もないのに出たのは、
一葉が、心をあの世に移したから。
一葉を相談相手に、次々と恨みの糸を追いかけると、
途中に、一葉が絡んでいる。

さらに、ついには、皇后陛下に行き当たる。
もう、行く先はない。
この世のすべての人を、恨みつらみで呪わなくてはいけなくなる。
いくらなんでも、そりゃできない。

この世に恨みのタネは尽きない。
じゃあ、どうすりゃいいのか。
誰かを憎むよりも、誰かを助ける。
正の循環をつくるなければいけない、
なんて、井上ひさしは、野暮なことは言わない。

鼻歌交じりにたのしく、ささやきかけてくれる。
     わたしたちのこころは
     あなのあいたいれもの
そのあなからは、
     いきていたころのきおくが
     あのあなからこぼれてゆく
こぼれたきおくは
     ウチュウにこぼれてちらばる
すべてのきおくがこぼれおちると
     わたしたちはいなくなる

あなだらけのからだに、いっぱい思い出や
名声やお金や快楽や悔しさや、
もろもろのものを詰め込んでも、
「わたしたちのこころは あなのあいたいれもの」なんだ。

そして、最後は、一葉の母・多喜の冥途から、
一葉の妹・邦子への叫びで幕を閉じる
     邦子、しっかりおやり!世間体なんか気にしゃだめだよ。

紹介演劇データ

  • タイトル:『頭痛 肩こり 樋口一葉』
  • 劇団:こまつ座
  • 作:井上ひさし
  • 演出:栗山民也
  • 日程:2013年7月11日(木)~8月11日(日)
  • 劇場:紀伊國屋サザンシアター

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日がな一日、本に囲まれて生活をするおっちゃん。おっちゃんが読んだ本や、見た映画など、ジャンルを問わず紹介します。
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