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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2013年7月31日

『わが盲想』モハメド・オマル・アブディン

筆者:おっちゃん人生って、広い。

タイトルでお分かりの通り、
著者アブディンさんは、ダジャレ好きだ。
スーダンの出身。

大学を中退して、一九歳の時に来日したときは、
日本語はまったく話せず、英語も堪能ではなく、
しかも、視覚障害者。
生まれつきの網膜色素変性症だった。
     初来日した一九九八年の時点で、ぼくにはもう
     物の影がかすかに見えるほどの視覚しか残っていなかった。

それで、よく来たね。
よくダジャレを楽しめるまで、成長したね。
しかも、3.11のときは、
臨月の奥さんを抱えて、東京から北九州まで避難して、
無事、第一子を生むんだから、
アブディンさんはすごい。
アブディンさんの奥さんもスーダン人。
日本語がまったく話せないのに、いっしょに、
よくまあ、あの混乱を乗り越えましたね。

アブディンさんは、混乱が続く祖国を飛び出して、
日本の鍼灸師学校の留学試験に合格するのですが、
都内には受け入れ先がなく、福井の学校でやっと拾ってもらう。
そこで、「世の中は捨てたもんじゃない」経験を重ねて、
無事に、鍼灸師の試験に合格し、
日本語も、さらに漢字も覚えることになる。
眼の見えないアブディンさんが、どうして漢字を覚えたのか。
それは、ボランティア教師となった高瀬先生が、すごい。

高瀬さんは、元看護師さんで、障害児を子に持つ母。
長女が脳腫瘍を患い、その手術の後遺症で、知能の発達が遅れた。
その長女に、生活習慣を根気よく教えた経験から、
高瀬さんは、意欲と工夫に富んでいる。

あるとき、高瀬さんは、アブディンさんに、
日本語を話せるだけでなく、漢字も覚えるように提案する。
眼が見えないのに、どうして覚えるんですか、と聞くと、
先生は、答えた。
     「そうだよね、どうやって漢字を教えればいいのかしら?
     モハメド君はみえないもんね」
でも、高瀬先生は、ちゃんとアイディアを出した。
粘土と割り箸を持ち出して、
     「割り箸で粘土に書いていけば、手で触ってもわかるでしょ?
     しかもね、終わった後に、また粘土を練り直せるのでちょっと便利かもね。」

一九歳で来日したアブディンさんは、いま、三五歳。
東京外語大学の博士課程で、研究中の身。
まだ一度も就職せず、二人の子どもを持ち、
ブラインドサッカーの選手として活躍している。

人生は、気持ち次第か。
なんとか、なんねんな。
他人事ながら、うれしくなってきた。

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日がな一日、本に囲まれて生活をするおっちゃん。おっちゃんが読んだ本や、見た映画など、ジャンルを問わず紹介します。
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