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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2010年3月10日

『ゴールは偶然の産物ではない』 フェラン ・ ソリアーノ

筆者:おっちゃんバルサの復活は、Jの低迷につながる。

2003年、FCバルセロナは大きな赤字を出し、経営不振に陥った。
その立て直しを託された役員の一人が、著者ソリアーノ。
彼には、経営者としての経験はあるが、
サッカー業界のことはわからなかった。

だから、基本からFCバルセロナの魅力、資産を見つめ直し、
グローバル化するサッカー業界の中で躍進の道を探る。

魅力的なチームをつくる方法は何か。
     クラブのブランドを強化する方法は2つある。
     まずは、試合に勝つことだ。子供たちは強いチームをサポートしたがるものだ。
だが、いつも勝てるわけではない。もう1つの方法は、
     ファンを引き付けるスター選手を迎えることだが、
     スター選手を獲得しても、移籍してしまう可能性がある。
そして、勝つにも、スター選手にも、金がかかる。
     長期にわたって分析を行うと、優勝チームとは
     いちばん報酬の高いチーム、最高レベルの選手たちと契約し、
     それ相応の給与額を支払っているチームであることがわかる。
そりゃあ、そうでしょう。
そうでなければ、選手が報われない。

スター選手とともに逃げたり、
負け試合で興味をなくすようなサポーターではなく、
どうしても離れられないサポーターに育てなくてはいけない。
どうしょうもなくできの悪い子でも、捨てられないように。
     ファンを引き付けるものは、現在のチーム成績やトップ選手の名声ではなく、
     クラブが持つブランド価値でなければならない。
     それにはまずクラブの特徴を明確にし、
     「なぜこのチームを応援するのか」と言うわかりやすいコンセプトを示すことが鍵となる。
FCバルセロナは、どこにコンセプトを見出したのか。
それは、地元・カタルーニャ州の民族意識の再確認だった。
     歴史的に見たFCバルセロナの強み、主な資産と言うのは、
     常に地域住民やソシオ、ファンたちからのサポートだった。
     FCバルセロナはカタルーニャ州では「クラブ以上の存在」であり、
     またスペイン全体でも同様の認識であった。
     さらに保守的で主流派のリアル・マドリッドと比べて、
     進歩的あるいは革新的なチームとみなされていた。
経営に行き詰ったFCバルセロナは、
「クラブ以上の存在」であることを、二つの方針にした。
     第一に、スペクタクルなサッカー、つまり興奮に満ちた美しいサッカーをすること。
     第二に、スポーツと平和の普遍的な価値を伝えながら、
     世界をより良い環境に改善すべく貢献していくこと。
「クラブ以上の存在」は、スポーツを越えた存在として、社会貢献を加えた。
そして、世界に広げようとした。
     2006年にユニセフと契約締結に至った。これは、我々の長期的な戦略である。
     短期的には年間2000万ユーロの広告収入を諦めざるを得ない。
     それでも、ユニセフに150万ユーロを寄付することによって、
     世界にクラブの精神を広めていきたいと考えたのである。
その決断は、グローバルな成果として実った。
     FCバルセロナの試合の生中継を観戦する視聴者のうち、
     スペインの人々の割合は全体の23%に過ぎない。
     チャンピオンズリーグの試合に限ると、スペイン国内の視聴者の割合は
     わずか10%にまで下がる。
チャンピオンズリーグの観戦者は、アジアの方が多い8000万人(16%)。
同時にウエブサイトも、使用頻度が最も高い言語は英語になった。
     2004年に、FCバルセロナのウエブサイトの日本語版サービスを開始した。
     予想外の早さで訪問者が殺到し、開設から2週間で
     ソシオに800人もの人たちが入会する嬉しい結果となった。
いまは、中国が大きな市場として狙われている。
中国は、親の世代はサッカーに関心がない。
子供たちは、親の影響を受けず、
自分の目で、サッカーの面白さを発見する。
自国のサッカーを素通りして、いきなり、FCバルセロナのファンとなる。

日本の子供たちも同様だ。
幼稚園や小学校でサッカーを始めた子供たちは、
Jリーグを飛び越えて、
テレビで、マンチェスターUやバルサの試合を楽しむ。
メッシだ、ロナウドだ、と騒ぐ。

FCバルセロナの経営戦略の成功は、
日本のサッカーの苦境を物語っているのではないか。
Jリーグで上位を走るチームよりも、
地元で深く愛されるチームの方が、強い生き方かもしれない。

ゼルビアよ、Jチームになった後、どこへ行く?