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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2009年7月31日

「ドラゴンクエスト9」 堀井 雄二

筆者:いぬアクティブな読書

最近あんまり本を読んだり、芝居を観たりできていないのは、
もちろん「ドラクエ9」にハマっているからだ。

ズバリ「ドラクエ世代」の僕は、「1-8」まで全部プレーしている。
「3」の時は、新宿のヨドバシカメラに早朝並んで手に入れた。
「9」は、アマゾンの予約でラクラク入手。うーん、いい時代になった。
DSだから、行き帰りの電車でこまめにプレーできて、とっても便利。
他の乗客にどう思われても気にしない僕は、36歳・既婚。

ところが少し前のこと。
会社の人に「ドラクエのどこが面白いのかわからん」と言われた。
「クリアしたからって、なんにもないじゃないか」と言うのだ。
「何かの技術が向上するわけでなし、ためになる情報がのっているわけじゃない。
いったい何のためにやっているのか」というわけだ。
こいつはゆゆしき事態。僕にとってはアイデンティティに関わりかねない問題だ。
確実に人生の何分の一か(ちと大げさか?)を費やしているものが、
なんにもない、としたら。少なくとも、そう思われているとしたら。

僕が、ドラクエで一番好きなやりとりがある。
たとえば王様が「モンスターを倒しに行ってくれないか?」と聞いてくる。
「はい」と答えれば、もちろん「おお、行ってくれるか! たのんだぞ」だ。
ところが「いいえ」と答えると「そんなことをいうとは、なさけない」と罵倒され、
また「モンスターを倒しにいってくれないか?」に戻る。
結局「はい」と答えるまで、このやりとりはマヌケに続く。

僕の選択は、どこにもつながらない。
作者・堀井雄二のストーリーに乗っていくしかない。
自分で作れることや変えられることは、ほとんどない。
人によっては、こんなやりとりをパロディのネタにする人もいる。
でも僕は、この構造こそが「ドラクエ」のキモだと思うのだ。

考えてみれば、どうせモンスターを倒しにいくことになるのだから、
質問をするだけムダだ。王様は「行ってこい」と命令するだけで済む。
じゃあなぜ「行ってくれないか?」と聞くのか?
「はい」としか答えられないのに?

もし「はい」と答えたら、それは自分の選択になる。
モンスターは、自分の敵になる。
この冒険は「自分の冒険」になる。
自分で選択する。
これが、僕を世界へと引きずりこむカギになる。
もちろんそれは堀井雄二の「手のひらの上」で遊んでいるだけだ。
100人がプレーしても、基本的なストーリーは全く一緒だ。
プレイしている画面だけを追ったら、
100人とも、同じようなことをしてエンディングにたどり着くに違いない。

違うのは、プレーヤーの頭の中なんだ。
プレーしながら考えること、感じることは、多分百人百様なんだ。
そこが面白い。
つまりドラクエの面白さは、ゲームの中にはない。
僕の頭の中にあるんだ。
考えてみてください。
読書だって、そんなものでしょう?
読む人によってストーリーが変わったりしないでしょう?
でも、読書体験や本を読んで考えることはみんな違う。
そういうことです。

「アクティブな読書」、それがドラクエの正体です。

 

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日がな一日、本に囲まれて生活をするおっちゃん。おっちゃんが読んだ本や、見た映画など、ジャンルを問わず紹介します。
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