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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2009年2月04日

『苛立つ中国』富坂聰

筆者:おっちゃん「反日」は地雷。爆発するのは、日本か、中国政府か。

著者が、中国の市民の激しい怒りに触れたのは、
― 〇四年八月七日のサッカー・アジアカップ決勝戦が行われた北京でのことだった。―
おっちゃんは、テレビ報道でただ怒りに狂い、
著者は冷静に中国人の「反日」に向き合った。

その日、北京では、スタジアムだけでなく、街中に厳戒態勢が引かれていた。
デモは暴徒となって、日本人選手が宿泊する崑崙飯店まで押し寄せた。
ホテルには、臨時対策本部がおかれ、
軍・公安・外交の主だった幹部が顔をそろえていた。
もし、暴徒が、一歩でもホテル内に踏み込めば、
ロビーで武装した警官に撃ち抜かれていたことだろう。
天安門広場に向かえば、あの悪夢の再現となる。
一触即発の危機に満ちていた、と伝える。

デモの激しさは
「反日の原因は歴史問題である」
「反日は江沢民時代の反日教育の産物である」といった言葉では説明できない。
もっと深い民意があり、
民意を恐れた、権力者とギリギリの攻防だった。

ところが、邦人メディアは、まるで、反日活動すらも、
「お祭り」に組み込むような能天気ぶりだった。
― 急遽中国へクルーを出したテレビ局の中には、
  試合当日わざわざ日の丸をデザインしたTシャツを着て、
  中国人サポーター席で試合を観戦しようと計画を立てていたチームもあった。―

中国人は、「日本への怨嗟」を高め、
それが、「起義チーイ(革命)」に転換することを恐れる共産党政府。
そして、一般の日本人は、「中国にうんざり」していた。

― 戦後、日本人なりに積み重ねてきた平和への努力には
  まったく目を向けようとせず、
  「軍国主義だ」「過去を反省しない」という的外れな批判を繰り返す中国。
  累積総額で三兆円という莫大なODA(政府開発援助)を行いながらも、
  その日本の貢献が中国の人々から評価されることもなく
  一方的に日中戦争での犠牲者数や損害額を根拠もなく膨らませ続けていく中国。―

中国は国家賠償請求を放棄してくれたが、
実は、きちっと試算していれば、
その額は、三兆円に遥かに及ばないというではないか。
そのくせ、戦争被害は、果てしなく大きくなる。
まるで、闇金融やないか、と日本国民は途方に暮れる。

しかし、中国人の「反日」と、
その裏に隠された「怒り」は、ますます膨らんでいく。
養老金(年金)は、ほとんどあてにならず、
医療保障制度は崩壊、
生活費の凄まじい高騰。
一流大学の卒業生でも五五%という就職難。
日本より急激な高齢化。
国民の二〇%に集中する富。
相続税、贈与税もなく、富の再分配もできず、
二極化は進むばかり。

先が見えない不安に苛立つ中国人を刺激する日本企業。
中国の誇りだった高級車「紅旗」も
日本など外車のために、地に落ちた。
これは、さまざまなブランドにおよび、中国人の誇りを傷つけている。

さらに、
「共産党の権力者さえ押さえておけばなんとでもなる」と、
権力者にだけすり寄り、市民をないがしろにする日本企業の姿勢。

インドネシアでの失敗を忘れたか。
スハルト大統領一族にだけ、ODAのうまみを与え、
国民を潤すことはなかった日本。
そのため、スハルトの失脚とともに、莫大な金が湯水と消えた。
権力者だけでなく、国民と向き合え、と著者は訴える。

さて、どのようにして、向き合えばいいのか。
おっちゃんは、「うんざり」改め「とほほ」になった。

 

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