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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2008年10月15日

「仕事道楽―スタジオジブリの現場」鈴木敏夫

筆者:おっちゃんホンマかな。鈴木さんのマネが出来るかな

岩波書店の編集者・井上一夫さんから口説かれて、
スタジオジブリのプロデューサー、鈴木さんの本は生まれた。
ジブリは、鈴木さんご本人が言うように、
「宮崎駿・高畑勲の映画を作るために立ち上げた会社」


なのに、初対面の場で、井上さんが言うには、
「ぼくは、高畑さんや宮崎さんには関心が無い。
しかし、鈴木さんには興味がある。
普通の人は、高畑さんや宮崎さんのような天才にはなることが出来ないけど、
鈴木さんの真似なら出来る。」

確かに、マネならできる。
でも、ほとんどはマネで終わる。
マネで気分は味わえるけど、あんまり価値はない。
おっちゃんに云わせると、
達成難易度で言えば、鈴木さんも宮崎さんに近い。

鈴木さんのアニメーションとの縁は、
宮崎駿と高畑勲に取材記者としての出会いから始まった。
二人の魅力に魅せられて、いつしか、取材の域を超え、
いっしょに映画作りの世界に入っていく。

ふたりとも、たいへんな読書家。
しかも、人があまり読まない本を読む。
― 宮さんに「鈴木さん、これ読んだ?」と聞かれて、
「いや、それは読んでない」といったら、
いきなり「無知ですね」。―
こういう口の悪さだけなら、
おっちゃんも、結構、「宮さん」クラスなんやけど。

この夏公開された『崖の上のポニョ』制作中のエピソード。
ポニョの主人公は、五歳の男の子。
宮さんも歳をとって、自分の身の回りにそういう子がいない。
― ある日、ぼくのスケジュール管理をしてくれる
アシスタントの白木伸子さんが子どもを会社に連れてきた。
六歳の男の子です。
宮さんがぜん色めき立つ。
「ちょっとこっちにきていっしょに遊ぼうよ」。
遊んで楽しんで、同時にその間に観察している。
「いま六歳ってこういう感じかな」と。―

宮崎の映画は、『紅の豚』から結末を決めずに作画に入るようになった。
― 最初のうちは、間に合わないないから先に描こうということだったんです。
はなしとしてはだいたい、もうわかっていましたし。
「途中で絵コンテを描いてやっていけばいいんだ」なんて言っていたわけです。
ところが、途中から主客転倒というか、目的が変わってきました。
宮さんは「結末の分かっているものを作っても、
鈴木さん、おもしろくないよね」なんて言い出す。
ひとつの手法になってしまったんです。 ―

現実は、きまりきった日常と、ちょっとした偶然の掛け算。
自分の力と、他人の視点の化学変化。
自分が生み出したキャラクターが動き出して、
自分の気付かなかった自分を引きづり出す。

だから、
― ジブリの魅力は「挑戦」なのだ。―
と言うのが、鈴木さんのいちばんのメッセージなんだろう。

 

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日がな一日、本に囲まれて生活をするおっちゃん。おっちゃんが読んだ本や、見た映画など、ジャンルを問わず紹介します。
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