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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2008年9月03日

志の輔らくご「ひとり大劇場」

筆者:おっちゃんまくらと古典落語のギャップがたまらない。

あの国立劇場大劇場での落語、
立川志の輔さんの「ひとり大劇場」。
東京ドームのコンサートみたいなもんでっせ。


志の輔さん、
やはり、まくらから快調です。

8月16日(土)は、お盆の時期、
甲子園もにぎやなとき、
それに、今年は、オリンピック。

こんな時に、足運んでくれるお客がいるのか、
心配になって、志の輔さんが事務所の人に嘆いたら、
事務所の方が、
「師匠、心配いりませんって。
お盆の時期ですから、お客さんはいなくても、
誰か、きっといますよ」ですって。

そういえば、昔聴いたまくらも深い味だった。
師匠は、富山のご出身。
里に帰って、富山の飛行場のレストランで食事していたときのこと。
勘定を済ませて、搭乗したはずの客が、レストランに戻ってきた。
他人のカバンを間違って持っていったらしい。
対応したレジの人が、
どなたのカバンですか、と店内の客に声をかける。
カバンの中を開け、持ち主の名前を確認して、
飛行場内でアナウンスもしてもらう。
でも、だれも名乗り出ない。

結局、カバンを間違えた人のカバンは見つかって、
騒ぎが落ち着いたあと、
一人の客が、勘定のためにレジに来る。
その時、誰のカバンや、と大騒ぎしたカバンを持ち上げる。
なんだ、店内にいたんだ。

自分のカバンを触られ、
中を開けられ、
名前を呼びだされたことも、知っていたのに、
素知らぬ顔して、食事をしていたんですな。

最近、他人に関心を示さない人は多いけれど、
もう、行くとこまで行って、自分にも関心のない人が現れたんか。
というのが、と落げや思うんですが。

こんなコワイ話のあとで、古典落語。
まくらとの落差が、たまらない。

江戸時代、初世・中村仲蔵の出世談。
歌舞伎役者として出自が悪い仲蔵さんは、
役者として最下級の「稲荷町」からスタートしながら、
団十郎の引立てを受けて、名題まで上り詰める。

しかし、周りの嫉妬は半端ではない。
名題になった記念の芝居で、
忠臣蔵の5段目、斧定九郎(おのさだくろう)の役を振り当てられる。
5段目は、昔、昼食タイムと云って、誰も熱心に見る人はいない。
なんとか、見せ場を作ろうと
仲蔵さんは研究を重ねて、後世に残る役作りに成功する。

こんなあらすじを引いても、おもろないですよね。
そりゃ、ライブで、
志の輔さんの話芸の中で遊ばんとね。
しゃべる、間があく。
観客は、そのひと呼吸、期待を込めて待つ。
笑を運ぶ、
涙に誘う。

舞台を終えた後は、
しくじったと思い、自殺まで思い詰めたと、団十郎に告白する仲蔵さん 。
それを聞いて団十郎のセリフ、
「何を云うんだ、歌舞伎の神になるんだ、仏になってどうする。」と、
一挙に落げになる。

いきなり、幕を閉じられる快感。
さあ、世間に戻りな、きばって働きな、
と、火打石で送られるような一瞬が、たまらない。

紹介演劇データ

  • タイトル:『志の輔らくご「ひとり大劇場」』
  • 作・演出:立川 志の輔
  • 公演日:2008年8月16日(土)14:00~
  • 劇場:国立劇場大劇場

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日がな一日、本に囲まれて生活をするおっちゃん。おっちゃんが読んだ本や、見た映画など、ジャンルを問わず紹介します。
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