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おっちゃんの「日々こもごも」

2011年8月16日

被災者の飢えをしのいだ缶詰

石巻市で、二軒の地場の老舗会社で、話を聞いてきました。
「木の屋石巻水産」と「高砂長寿味噌本舗」。

木の屋石巻水産は、缶詰で有名な会社。
防波堤の道路一つ隔てて、お店と倉庫があります。
当然、津波はビル3階分もある天井近くまで届き、
建物は、かろうじて枠しか残されていません。
すさまじい惨状です。

地盤は、70センチから1メートル近く沈下して、
満潮時には、道に潮があふれます。
電気も通らず、上下水道も、まだ使えません。
というよりも、
この土地をどうするのか、まだ方針が定まっていないので、
手が付けられない状態です。

缶詰は津波によって、四方八方にまき散らされ、
震災時は、遠くの方の道にまで散らばっていたようです。
何しろ、いくつかの倉庫に収めていた80万個の缶詰が、
一挙に運び去られたのですから。

ボランティアの手を借りながら、
20万個ほどをかき集め、
やっと、8月初めに収集作業が、一息ついた状態です。

と言って、会社の人は説明してくれましたが、
ふと、建物の間の道を見ると、
いくつか、缶詰がまだ転がっていました。

缶詰は、砂や油や、さまざまな汚れを落とし、
洗浄してから、「希望の缶」として売り出されています。
復興を応援したい人の間では、人気を呼んでいます。

とくに、地元の人の間では、まさに「希望の缶」でした。
説明してくれた会社の人によると、
被災して4日目の15日、飢えが厳しくて、
会社の仲間と一緒に、
津波から残った缶詰を探しに、倉庫に来たようです。

瓦礫をよけつつ、何とか、倉庫に入ると、
すでに、何人もの被災者が缶詰をあさっていたようです。
見知らぬ人の中に、なじみのお客さんもいて、
目が合うと、思わず、「どうぞ、どうぞ」と言いながら、
お互い涙ぐんだということです。

お互い、津波にあった同志、
それから、なんとか生き残った同志、
それでも、飢えに苦しむ同志、
その缶詰が、「希望の缶」として復活した。

何か月か、たって、
いま、お金を出して買った地元の人は、
どんな思いで缶を開けているのだろう。

「本当のふんばりは、これからだぞ」と、
自分に言い聞かせながら、しばらく見つめているのだろうか。
食べられずにいるのだろうか。

*この「希望の缶詰」は、21日(日)、ゼルビアのホームゲーム、
ソニー仙台戦の野津田、
メインスタンド前の特設テントで売られるそうですね。
わたしも、缶詰を買って、
飢えをしのいだ被災者の気持ちをしのびます。