• HOME
  • >  おっちゃんの「日々こもごも」
文字サイズ
大
中
小

おっちゃんの「日々こもごも」

2011年3月30日

地震の夜のふたり。

11日(金)の地震の夜には、さまざまなことが起こっていた。
その時間、電車に乗っていて、2時間閉じ込められた人。
見知らぬ会社に入れてもらい、
おにぎりをふるまってもらって夜を明かした人。
うちの会社には、5時間かけて帰ったスタッフもいる。
わたしは、遠すぎて帰れない女性スタッフもいたので、
会社での籠城を覚悟した。
開き直って、籠城族といっしょに、
7時ごろ近所の肉屋さんで機嫌良く食事をした。
予約はすべてキャンセルになっていて、とても感謝された。

昨日行った赤坂のレストランで聞いた話では、
11日の同じころ、秋葉原から赤坂に向かって歩いている女性がいた。
川越から自転車で向かっている男性がいた。
その赤坂のレストランで食事するために。

11日は、彼女の誕生日。
食事は、そのお祝いだった。
予約は6時。
ふたりが無事到着したのは、8時。
レストランは開いていた。
時間に遅れながらも来た予約客は、そのひと組だけ。
スタッフ全員で迎え、全員で見送った。
若いウエーターは、
「ボクは、シンバルを鳴らして見送りました」とジョークを言った。
オーナーは、「開けててよかった、としみじみ思いました」。
金じゃない、誇りと意地なんだ。

話を聞きながら、
井上陽水の「傘がない」を思い出していた。
自殺する青年が増えても、
偉い人が、国の将来を憂いても、
ボクにとって大切なことは、雨の日に、
彼女に会いに行くための傘がないこと。
「それはいい事だろ?」と呼びかける。

この歌から、今までと違う意味が見えてきた。
彼女に会いたいから、
会うための傘が欲しいから、
被災者にも、何かをしたい、と思うのだ。
「傘がない」青年は、ちっとも矛盾していない。

自分にとって大切なことがあれば、きっとその先に行く。(と信じたい。)