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おっちゃんの「日々こもごも」

2008年12月12日

自尊心の席

筆者:おっちゃん 遅い朝の通勤電車。
新百合ヶ丘駅で急行電車に乗り換える。
空いた席をめがけて、急いで乗り込む人も比較的に少ない。

席が埋まって、ドアの両側にも、人が立ち、
吊皮をもつひとも、ちらほら。
混んでいないだけに、座れなくても、
人の表情にも余裕が感じられる。

次の登戸駅は、南武線との乗り換え駅。
降りる人が、一つのシートで一人ぐらいはいる。
登戸駅が近づくと、立っている人の中で、
緊張感が肩の辺りに漂う人がいる。

わたしは、ドア際で立っていたら、
向かい側の席が一つ空いた。
前に立っているご婦人は、
替わって座ろうとしない。
その気配を察した反対側で立っていた女性が、
空いた席に向かった。
と、同時に、前にいた女性が腰かけようとした。
顔を見合して、お互いに譲り合った。
譲り合いが続く。

ついに、お互いに座らずに、
前に立っていた人は、その場を動かず、
向かった人は、元の吊皮に戻った。
少し照れた表情をつくりながら。
登戸駅で乗り込んできた人も、
その譲り合いの気配がまだ残っているのか、
空いた席に座ろうとしない。

やっと、次の成城学園駅で乗り込んできた人が、
空いたままの席に、何の不思議もなく座った。

電車は、もとの空気にやっと戻った。